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師勝町歴史民俗資料館。そこは別名「昭和日常博物館」とも呼ばれ、懐かしいものファンの人にはこたえられないほど魅力的な施設です。何気ない図書館から階段を上がると玄関には昭和30〜40年代のさびついた街並みが現れます。横丁の軒先を抜けて展示室に入ると、雑多な昭和のモノたちが大挙して迎えてくれます。ここで学芸員を務めている市橋芳則さんに「昭和文化」への思いをお聞きしました。

「現在のように昭和の資料を展示するようになってきたのは、平成5年の3月に開催した企画展「屋根裏の蜜柑箱は宝箱」あたりからです。取り壊される旧家の屋根裏からまさしく蜜柑箱が見つかったんですね。その中には絵はがきだとか旅行のガイドブックみたいなものが入っていたんですが、それらを入れていた中箱が、グリコのランニングマークのついた赤い大きな箱で、それは当時としてはストックする用途のためだけの菓子箱だったんでしょうが、違う用途に使われてかろうじて生き残ってきた昭和のモノだったんですね。それ以降、昭和の品々を活かした様々な企画展を行ってきました。
| 《師勝町歴史民俗資料館の主な企画展》 |
| 平成5年3/2〜4/24 |
「屋根裏の蜜柑箱は宝箱」 |
| 平成6年7/1〜9/29 |
「こんな駄菓子屋さんに行ってみたい」 |
| 平成7年3/1〜5/30 |
「キャラメルの値段」 |
| 平成7年7/1〜9/29 |
「路地・裏・大博物館」 |
| 平成8年3/1〜5/30 |
「机上のワンダーランド」 |
| 平成8年11/1〜平成9年1/30 |
「引き出しの中のノスタルジー」 |
| 平成9年11/1〜平成10年1/30 |
「昭和モノ図鑑を作る。」 |
| 平成10年3/1〜5/30 |
「机の上の架空のパレード」 |
| 平成11年11/2〜平成12年1/29 |
「ナツカシイってどんな気持ち」 |
| 平成12年7/1〜9/29 |
「ボクの知らない昭和時代」 |
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一般に“歴史資料館”というイメージが、歴史的な文化遺産を展示するという固いイメージでかたまってしまっていますが、昭和という時代でも民俗資料はあるんですよ。もともとこの資料館には、師勝町から出土した縄文時代からの埋蔵文化財や農機具、養蚕の道具などが展示されていたのですが(現在も展示室はあります)、 建て壊しをされる家屋から昭和のモノがでてきた時、それらの日用品や電化製品が焼却されたり粗大ごみに出されることに疑問を感じたんです。昭和の、とりわけ戦後以降の歴史はつい最近のことのように思われますが、平成の時代になった今、昭和時代全般の資料を残す必要を感じて、徐々に現在の所蔵品が増えてきました。昭和のモノというのは年配の方にとってはまだ記憶の中に残っているものですね。それがリアルな懐かしさになっていきます。「そういえばこんなの、あったな」とか思っていただければ…。

来館者の中には値段交渉などされる方もありますが、すべてそういった話はお断りしています。ですから展示の仕方もあまりマニアックな方向に向かないようにして、様々なモノが雑多にあふれているようにしています。あるテーマをもとに並べることが多いですね。この時代の机の上には何があったか、とか当時の応接間を再現するとか…。同じ系統で完全に整理していないところがコダワリです。 ただこの時代の資料といえば、どうしてもモノを買う文化ですので、企業の商品が8割、9割になっていくんですね。そうすると公的な施設で企業の 宣伝みたいなことをしていいのか、という問題にもなりますが、昭和30年代を扱うには必要な事と考えています。
最近は各地でこの時代の展示がさかんになってきまして、ナガシマスパーランドで行われたレトロ展にも企画から参加しましたし、各地で行われる展示などにも資料の協力を依頼されます。また東京都墨田区にある江戸東京博物館(http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/)では、7/29から9/17まで「近くて懐かしい昭和展」を開催しますが、こちらに協力して資料を送っています。マルホさんの当て物台紙などは貴重な駄菓子屋の資料なのでここでも展示されます。

また今年の秋にナショナルが懐かしいくらしの展示をするそうですが、ナショナルの30年代の製品をナショナル自体が探しているらしいんです。たまたまホームページでうちを見つけたようで、ひょっとしてありませんか?と問い合わせがありまして、『ナショナルでしたら洗濯機から掃除機から冷蔵庫から卵ゆで機からありますよ』と答えまして、協力する話が進行しています。企業も1号機などはあるでしょうけどなかなか全商品はストックしていないようです。またメーカーの中では、グリコも歴史を大事にしているようで、しっかりとした資料室があって、グリコ製品でよくわからないものがあって聞くとすぐ教えてくれるんです。
資料館のこれからですが、何を探しているということではないんです。収集するものを規定してしまうと、入ってこられないものが出来てしまいますよね。去年ですが、昭和20年代のパンティストッキングが郵送されてきたんです。別に変なものでもなんでもなくて。そのパンティストッキングの袋の中には繕い用の針と糸が一緒に入っていました。それが当時は非常に貴重な ものだったんだなという意味を持つんですが、収集品の幅をこちらで決めてしまうと、こういったモノは提供されなくなってしまうと思うんです。ですからこの資料館では、何でも展示する、というコンセプトです。逆にこんなものがあったらいいな、という頭の中でこぼれていたもの、え、そんなものもあったの?というものに興味が湧きます。」(取材日 2000.6.29)
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